こんにちは僕ぽち丸。
さてさて、写真頑張ります宣言したので頑張るんですよ。と言うわけで、久々にカメラ持ってぶらぶらしてきました。
大阪市平野区にある全国屈指の珍寺、全興寺。
この平野区と言う場所、今から紹介する全興寺以外にも、個人でやってるような物凄い小さな(自称)博物館が沢山あります。
自転車博物館とか新聞博物館とかどれもこれも結構な珍スポットなんですけれども、もう何か普通のおばあちゃんとかおっさんが店の一角で小ぢんまりやってる感じで、みんな気さくで優しいんですよね。お茶出してくれたり、「○○には行きました?あそこも面白いよ~!」とか気さくに声掛けてきたりね。
「おもろい」「気さく」「人情味がある」と言った、大阪の良いイメージを凝縮したような街です。
てなわけで、問題の全興寺へ。
商店街の中に突然現れる鳥居。
商店街に鳥居ってミスマッチなはずなんだけど何故かしっくり来る感じ。
城を中心として栄えた町を城下町、寺や神社を中心として栄えた町を寺社町と言いますが、全興寺はこの商店街を中心とした平野区町歩きのメイン物件のように扱われており、地図などでもランドマークとなっています。
商店街を中心とした小さな地域を守る、小さなお寺。
・・・と思ったらいきなり脅しから入りましたよ。
いやもうほんと、寺って昔から賭博場にして場所代取ってたり(寺銭の語源です)、それどころか富籤って博打の胴元やってたり、現代だって戒名つけたりちょろっと30分ほどお経あげるだけで何万円とか貰って、それも金額の多寡でランク分けちゃったりもしてて、やってる事まるでヤクザなんですけれども、ここまでストレートに恫喝してくるとは思わなかったよ。
入っていきなり、「のぞいてごらん」とか言われちゃう。
もうね、こんなストレートに好奇心を煽るキャッチって中々ないよ。
ボタンがあったら押してみる、レバーがあったら引いてみる好奇心の塊であるこのぽち丸、こんな事言われたら覗かざるを得ないじゃないですか。
と言うわけで覗いてみた。
多分昭和初期くらいの家屋の再現があるんだけれど、何の説明も無いんですよ。
民俗学的な資料として展示するんなら、普通「この道具はいつごろ使われた何て名前で、何に使うもの」みたいな説明とかあるじゃないですか。あとこういう部屋が使われてた頃の時代背景の説明とか。
そういうのが一切無く、ただアクリルの向こうに古っぽい部屋が再現されてるだけ。超投げっぱなし。
んで、おばあちゃんの部屋の隣は「小さな駄菓子屋さん博物館」になってます。
ここももちろん一切説明なしで駄菓子や玩具が並べられてるだけ。
決して広くない境内を歩いていると、ふと目に入ったのがこちら。
「この穴の中に頭を入れると
地獄の釜の音が聞こえます」だそうな。
穴があったら突っ込みたくなるのが男の性ってもんじゃないですか。そりゃもう突っ込みましたよ。奥まで。
まあ、何となく想像つくとは思うけれど、風が共鳴してゴォー・・・と小さな音が聞こえる。
ここに小さなラジカセでも仕込んで人の叫び声やら聞こえてきたらマジで面白かったのに、残念だ。
さて、いよいよメインである地獄堂へ。
入る前に、地獄極楽チェック。閻魔大王様が地獄行きか極楽行きか裁いてくれます。
結果ですか?当然極楽行きですよ当たり前じゃないですかやだなぁ。やべぇ舌抜かれる。
お寺からのお願い。
良い子にしないと閻魔様に怒られるよ~と言ってる親御さん多いんでしょうね。
と言うわけで、ようやく地獄堂へ。
真正面にドーン!と閻魔様。
嘘つきの舌を抜く鬼と三途の川で罪人の衣服を剥ぎ取る奪衣婆(だつえばば、葬頭河婆(そうずかばば)とも)も居ます。
特にババアの造型が割りとガチ。
この奪衣婆、三途の川の渡し舟の運賃である六文を持たずにやってくる亡者に対して代金代わりに衣服を剥ぎ取ると言う何かもう追い剥ぎみたいなおっとろしいババアです。
脱がされた服は懸衣翁(けんえおう)というじーちゃんが衣領樹(えりょうじゅ)と言う木の枝に掛けてその枝のしなり具合で亡者の生前の罪の深さを測り、死後の処遇を決めているそうな。
何ていうかアレですよね。閻魔大王の裁きを受けるための金が無い貧乏人のための簡易裁判所って感じでしょうか。地獄も分業制なんですね。
て言うかどんだけ適当な裁判なんですかこれ。衣服の重さとか枝のしなり具合とか見る人の胸先三寸でどうにでもなるじゃないですか。こんな適当な感じで決められるんなら煮えたお湯に手を突っ込んで火傷しなければ無罪、火傷したら有罪で火あぶりとかの方がまだマシですよ。
地獄の沙汰も金次第と申しますが、貧乏人は閻魔大王の正当な裁きを受ける事すら出来ません。死後も生前も嫌な世の中ですね。
さてさて、閻魔大王の台座の下にあるドラを叩くと、鬼の後ろにあるデジタルハイビジョンテレビもとい浄玻璃鏡(じょうはりのかがみ)のスイッチが入って、地獄に落ちたらどうなるか、地獄に落ちないために正しく生きるとか、命の大切さなんてありがたいお話が流れます。
これが割りと凄い。
明暗をうまく使って錯視を利用して、立体的に見えるのです。めがねの要らない3D映像。
地獄堂を出ると、すっかり夏の気配がする小路を進みます。
道を抜けた先にあるのがほとけのくに。
薄暗い半地下にあるほとけのくに。かなり感度上げて撮りましたけど、非常に暗いです。
床がステンドグラスの曼荼羅になっていて、その周囲を石仏が取り囲んでいる感じ。
この曼荼羅の上で仏に囲まれながら瞑想するための施設らしいんですが、さっきの地獄堂からの流れでこの暗さですからね。子供が「また怖いとこー!?いーやー!!(;д;`)」って可哀想なくらいギャン泣きしてました。そりゃそうなるわなw
広くは無い境内に面白い事てんこ盛りの全興寺。
毎週紙芝居をしてたり、その他色々面白い事をやってて子供たちの憩いの場になっているようです。
昔の寺の重要な役割のひとつであった、人と人を繋ぐコミュニティの中心として、全興寺は今日も小さな商店街を見守っています。
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