こんにちは僕ぽち丸。
さてさて、
昨日の記事で電車の問題を出したんですが、ご覧になってない方はまずそちらからご覧下さい。
いやあ、それにしても、
コメント少なくて泣けてくるね。
人徳ねえなー俺。
まあとりあえず、僕の回答と問題の解説をしてみましょうか。
これはあくまで「僕の回答」であり、「正答」ではないのでご注意ください。
回答:
ゆっくりブレーキをかけて警笛を鳴らす。分岐はしない。
理由:まずこの状況で回避すべきリスクは、「
人が死ぬ事」が第一です。
「ブレーキを掛けても間に合わないが、分岐に入ろうと思えば入れる」と言う状況であるため、
「5人は警笛を鳴らせば、気付いて充分に退避できる程度の位置」で作業していると考えられます。
更に言うと、5人は
電車が走っている事を承知で作業しているため、
警笛を鳴らして接近を知らせるだけですぐに退避できるように作業しているはずです。
線路上で作業している場合、体ひとつだと警笛に気付いたら素早く逃げれるでしょうが、もしかしたら
道具やその他を動かすのに多少時間が掛かるかもしれないので、大事をとってゆっくりとブレーキを掛けます。
急ブレーキでない理由は、さきほど、
「最も回避すべきリスクは死人が出ること」と書きましたが、天秤に掛けるべきは
「本線に居る作業員5人」と
「分岐に居る作業員1人」の命だけではなく、「作業員5人」と「作業員1人」と、
「乗客」です。
生命の価値はいかなる場合においても平等ですが、電車の運転手と言う立場から考えると、
乗客の安全>作業員(=身内)の安全
です。
急ブレーキを掛けると
乗客に怪我人が出る恐れがあるため、乗客に危険が及ばない程度で最大限にブレーキを掛けるわけです。
なんたって、
車より早く走っているのにシートベルトもなく、立っている人も居るわけですから。
で、分岐に入らない理由。
死人を出すと言うリスクのみを考えるならば、減速し、警笛を鳴らしながら分岐に入ると言うのが最も安全に見えます。
しかし上記の通り、
警笛を鳴らして減速する時点で、生命的なリスクは作業員全員が耳の不自由な人でない限りほぼ回避できます。
その場合、次に回避すべきは
「電車の遅延・ダイヤの乱れ」です。
分岐に入った場合、一度電車を止め、後続の電車なども全てを止めて本線に復帰しなければならないため、かなりの遅延が出ます。
これは、急ブレーキを掛けない(=停車しない)もうひとつの理由でもあります。
さてさて、もう一度書きますが、この問題には「正答」と言うのはありません。
上に書いたのはあくまで「僕の答え」ですのでご了承くださいね。
というわけで、この問題の解説です。
昨日も書きましたとおり、この問題は倫理学の
トロッコ問題という思考実験のアレンジです。
--------------------ここから読み飛ばし可-------------------------
ちなみに、元ネタの問題は
・線路を走っていたトロッコの制御が不能になった。このままでは前方で作業中だった5人が猛スピードのトロッコに避ける間もなく轢き殺されてしまう。
・この時たまたまA氏は線路の分岐器のすぐ側にいた。A氏がトロッコの進路を切り替えれば5人は確実に助かる。
・しかしその別路線でもB氏が1人で作業しており、5人の代わりにB氏がトロッコに轢かれて確実に死ぬ。A氏はトロッコを別路線に引き込むべきか?
・なお、A氏は上述の手段以外では助けることができないものとする。また法的な責任は問われず、道徳的な見解だけが問題にされている。あなたは道徳的に見て「許される」か、「許されない」かで答えるものとする。
となっています。
つまり、単純に
「5人を助ける為に他の1人を殺してもよいか」という問題なわけですね。
多分、多くの方は「5人を助ける」と答えると思います。
これを倫理学では
功利主義と言います。
「行為の是非は、その行為がもたらす結果が社会にとって有用であるか否かによって判断される」というもの。
つまり、この場合は
「社会にとって、1人が死ぬより5人が死ぬほうが損失である」=「1人を助けるより5人を助ける方が有用である」と言う観点から、5人を助けると言う結論になるわけですね。
社会の授業で、
「最大多数の最大幸福」と言う言葉を聞いた覚えがある人も結構いるんじゃないでしょうか。
対して、恐らく少数派であろう「一人を助ける」と言う考え方は、
義務論と呼ばれます。
結構抽象的な概念なので説明が難しいんですが・・・「
ある目的のために、他の誰かを利用するべきではない」と言う考え方です。
つまり、
本来であればトロッコに轢かれるはずだった5人を救うために、
本来であれば事故とは無関係であったはずの1人を犠牲にしてはならないと言う考え方ですね。
---------------------------読み飛ばしここまで----------------------------
それで、今回のアレンジ問題ですが、これは倫理学的な焦点ではなく、
「『ルール外のルール』に気付くことができるか」「いかに一般的な常識に沿った範囲でリアルに想像できるか」などを目的としてアレンジされたそうです。
例えば、
一般的な常識に沿った範囲でリアルに想像すると、運転している
「一般的な貨客列車」には当然警笛がついています。
問題文でその使用が制限されていないのだから、もちろん使えるわけです。これが
「ルール外のルール」ってわけですね。
さてさて、そんなわけで、答え方が分からなかった方もいるかも知れませんので、同じような問題をもう1問出題しようと思います。
想像を膨らませて、論理的な思考で考えてみてください。
あ、ちなみに、就活生の皆様は、採用試験のグループディスカッションとかグループワークとか言うのでこの手の問題が出てくる事がありますので、やっといて損は無いと思いますよ!
って言うか、この問題自体、僕が就活やってた時のグループディスカッションで出題されたものなんですがね。
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あなたは、友人たちと5人で船に乗って旅をしていましたが、嵐によって船が沈没してしまいました。
5人とも救命用のボートで脱出する事はできましたが、嵐はまだ収まらず、いつボートが転覆するか分かりません。そこで、ボートに積んである道具のうち、一人1個(合計5個)を選び、それ以外を捨てることにしました。
ただし、
1、船が沈没する寸前に遭難信号は出しているが、救助まで何日かかるか分からない
2、天気予報によると、嵐は5日ほど停滞している
3、陸地からはそれほど離れていないはずであるが、周囲に陸地は見えない
4、救命ボートにはモーターがついているが、故障している
5、救命ボートには、下に挙げた道具以外は積んでいない。
・食料(3日分)
・水(3日分)
・救急箱(絆創膏、包帯、消毒薬と、酔い止め・頭痛薬などの常備薬)
・海図
・コンパス
・双眼鏡
・ナイフ
・ラジオ
・懐中電灯
・ロープ(100m)
・オール(2本)
・工具セット
・モーター用燃料(一斗缶入り、3缶)
・ビニールシート(5mx5m)
・発煙筒
5人が無事に助かるためにはどの道具を使いますか?
使い方や理由なども一緒に書いてください!
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ちなみに、僕の答えはこの下に書きますので、答え終わったら反転して見て下さいね!
回答:ロープ、ナイフ、発煙筒、水、燃料
理由:これはつまり、いつ救助が来るか分からない状況で、自力で陸を探すか、救助を待つかと言う選択になると思います。
今回僕は、救助を待つ選択をしました。
嵐の中を救命ボート程度の小船で動くのは極めて危険であり、遭難信号は発信しているからです。
で、各道具の使い方ですが、まずは全員がボートから投げ出されないことが重要ですので、ロープで5人の体を結びます。
ロープは100mありますので、余った部分はナイフで切っておきます。
嵐の中で小さな救命ボートを発見してもらうのは困難ですので、発煙筒も残しました。
水は言わずもがな、飲むわけです。
食料を捨てたのは、遭難信号は送っているという点から、救助が来るまでそれほど時間は掛からないだろうと言う判断からです。人間は水さえあれば結構食べなくても平気らしいので。
で、燃料ですが、燃料って自力で陸探す用の道具じゃないの?って感じしますよね。
しかもモーターは壊れてるわけですから、あっても無駄な気がします。
しかし、実は僕が選んだ中で、これが一番重要なアイテムだったりします。
まずは中身を救命ボートの周りに撒き散らします。
モーターエンジンの燃料は軽油だか何だか、とりあえず油ですので、水に浮きますね。
つまり、燃料の油でボート周辺の波を抑えるわけです。
中身をまいた後に残る一斗缶x3個には、5人の体を縛った後に余ったロープを結ぶと、簡易の救命浮き輪になります。
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さてさて、いかがでしたでしょうか?
約2回に渡って思考実験もどきをしてもらいましたが、楽しめましたでしょうか?
もし皆さんからの反響が大きければ、シリーズ化してまたやりたいと思います。
昨日の時点で、むしろ普段より反応薄かったので多分もう二度とやりませんがね。
[3回]
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