こんにちは僕ぽち丸。
三連休明け、仕事は詰まってる、昨日の夜は夜更かし、豪雨。
役満です。僕が南の島の大王なら間違いなくお休みするレベル。
とは言え、僕も立派な社畜の端くれですから、まったくもって鬱陶しい気分を抱えながら電車に乗って会社に向かったわけです。
普段チャリ通なもので朝ラッシュの時間に電車に乗ることはあまり無いんですけど、たまに乗ってみると混雑も新鮮で意外と良い物だったりします。
女子高生とか女子大生とかOLとかいっぱい居たりしてね。十重二十重に女子に取り囲まれて、ここは地上の楽園か。酒池肉林だぜ今夜はパーリナイ!
うん。女性専用車両だったよ。ありがちだね。
これはピンチですよ。もしこの中の誰か一人が「この人痴漢です!」って声を上げたら一瞬で楽園からブタ箱行き。何をどう足掻こうが示談金吹っ掛けられて泣き寝入りするしかありません。
で、隣の車両に移ろうにも雨なわけじゃないですか。僕みたいな雨天電車通勤の人も多いんでしょうね、結構混雑してまして、それにみんな傘持ってるもんで、動くに動けない状況です。
無理に動こうとしたら確実に女性の体に触れることになり、それこそ申し開きできなくなっちゃう。いやぁ困った。
日本人の国民性として、集団の中に異物が混じるとそれを排斥しようと言う意識が働き、「コイツは悪だ」と言うレッテルを貼るものです。
一度レッテルを貼ってしまうと相手の一挙手一投足すべてにバイアスが掛かり、加速度的に悪い方へと評価が傾いていく。ああ、島国根性バンザイ。
つまりですね、女性専用車両に居る僕に対して、
「何でこの車両に乗ってきたんだ?」
「何か悪いことをするつもりじゃないか?」
「痴漢するつもりか?」
「痴漢するつもりだな」
「痴漢するつもりに違いない」
「盗撮もしてるに違いない」
「ネットに配信してるに違いない」
「だって乗り間違えたの気付かないわけない」
「気付いてるくせに隣の車両に移ろうとしない」
「痴漢じゃ、痴漢じゃ」
「盗人じゃ」
「米泥棒じゃ」
「村八分じゃ」
「いんや、村払いにするべ」
「お縄を頂戴しろ」
「火を放て」
とまあ、こんな風に段々とエスカレートしていくのは自明の理。
ここが女子に取り囲まれた地上の楽園だなんてとんでもない。実態は、女性が全てを支配する女尊男卑の腐敗と自由と暴力の真っ只中ですよ。
次の駅で一回降りて隣の車両に移るつもりですが、この一駅間がここまで長かったことが未だかつてあっただろうか。まるで銀河鉄道のようですよ。人は誰でも幸せ探す旅人のようなもの。
この窮地をどう乗り越えるべきか。僕は人差し指をペロリと舐めてこめかみにぐりぐりとこすり付けて座禅を組みました。
ポク、ポク、ポク、ポク、ポク…チーン☆
「お歯黒べったり」と「マグロ食べたい」って似てる!!
すみません、何かノイズが入りました。
とにかくですね、僕が生き延びる方策としては、「同化する」と言う一点に尽きます。
女性専用車両に乗る資格のある人。つまり女性になれば良いのです。
うん、だめー。フツーにだめー☆
どこのオカマバーでも雇ってくれねえよこんなもん。
というわけで、ぽち丸女子化作戦は失敗。
後はもう、出来るだけ目立たないようにひっそりとするだけです。
僕は宇宙に意識を飛ばしました。
樹だ。
僕は、一本の大きな樹だ。
そう、ここは地上の楽園。
僕は楽園の中央に植えられた生命の樹セフィロトだ。
僕はこの世界の中心、世界樹ユグドラシルだ。
僕を乗せた銀河鉄道は、最果てを目指します。
ラン ランララランランラン ラン ランラララーン
ランラン ランララランランラン ララララランランラーン(ナウシカのあれ)
……
……
……ッハ!!
---------------------------------------------------
ぽち丸「…と言う訳で、次の駅で一旦降りるどころか気付いたら3駅乗り過ごしてました。悪いのは階段降りた所に止まる車両を女性専用車両にした鉄道会社ですので僕は悪くありません」
部長「うん、だめー。フツーにだめー☆」
これだから雨の日は嫌いなんだ。
僕が南の島の大王になったら、雨の日は休む事にします。
[3回]
PR