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こんにちは僕ぽち丸。



僕はエロい。
そりゃもうそこはかとなくエロい。
30歳手前にして日に2回自慰行為に耽るくらいエロい。朝晩朝晩朝晩晩くらいのヘビーローテーションだ。
 

このエロさが災いし、他人様に迷惑を掛けることもしばしば有る。
そりゃもうエスカレーターの上段に立つ女性はスカートの裾を抑え付けながらもし今が世紀末なら釘バットで脳漿ぶちまけてやるのにぐらいの勢いで僕を睨むし、夜道を歩こうものなら前を歩く女性が早歩きから小走りになって最終的に絶叫しながら猛ダッシュした事も一度や二度ではない。

一応己の誇りの為に言っておくと、エスカレーターでは別にパンツを覗き込もうとしていたわけでも携帯をいじってたわけでもなく至極真っ当に乗っていただけだし、夜道を歩いた際も特に女性を追いかけていたわけではなく、たまたま曲がり角が3つほど僕の帰宅ルートと被っていただけなのだ。
しかしながら、彼女らはその生存本能に基づいて僕のエロオーラを機敏に察知し危機回避行動を取った。それは間違いなく僕の隠しても隠しても隠し切れない隠し味であるエロさが原因であり、彼女達には何ら責任は無いのだ。
君子は危うきには近寄らないのである。



まあそんなこんなで様々な人に迷惑を掛けている僕のエロさであるが、僕だって木の股から生まれたわけではない人の子である。他人様に迷惑を掛けるのは何とも心苦しいものだ。
そんなわけで、僕は他人様に迷惑を掛けた分、否、それ以上に他人様のお役に立たなければならないと常々思っているのである。


 

僕のエロさで他人様に迷惑をお掛けしたのならば、このリビドー、迸る熱いパトスで持って世の為人の為お役に立つのが筋合いと言うものであろう。

エロさで持って人の役に立つ。これは意外と難しく思える。
エロと言うのは世間一般に忌避されがちな行為であるから、これをもって社会の幸福に資するというのは中々ハードルが高い。
例えば男性に恵まれない残念な女性達に僕の肉体で持ってご奉仕するという逆風俗的なものが真っ先に思い浮かぶが、別にルックスもセックスも具合が良いわけではない僕みたいな有象無象でも良いから抱かれたいと思う女性がこの世にどれほど居るだろうか。
よしんば居たとしても、それを臆面も無く言葉に出して要求できる女性がどれほど居ようか。先ほども書いたとおり、エロとは一般的に忌避される話題なのだ。

それに、直接的なこの方法では要するに僕とおセックスした人しか幸せになれない。
つまりこれは僕と出会うことの無い、あるいは僕とのおセックスにはまるで興味の無い大多数の人を切り捨てると言うことであり、これは最大多数の最大幸福と言うベンサムの功利主義に反している。すなわち、この方法では世の為人の為にお役に立ったとはおよそ言い難いのである。







ではどのようにすればもっと広く他人様のお役に立つことが出来るのか。
つまり、僕はこのエロさでもって、他人様のセックスライフを充実させるべきなのである。自分の肉体で持って誰かを満足させるではなく、僕の知恵や経験でもって誰かのおセックスをより涅槃的なニルヴァーナの境地に導くのだ。

結局どうすれば良いのか。
AVの監督や男優になろうかとも思ったわけだが、僕は映像的な知識については一切の素人であるため監督業は無理であろう。

とは言え、女子高生モノやコスプレモノなのに最終的に全裸にしてしまったり痴漢モノなのに電車内でちょちょっと触って男優が耳元で「じゃあホテル行こっか」みたいに臭っさい大根芝居してあとはずっとスタジオ撮りしちゃうようなアホ監督よりはまだマシなものが撮れると言う自負はあるが。



まあそれはともかく、根本的にAV業界と言うのはあくまで男性向けであって、僕のエロさは主に女性に対して迷惑を掛けているわけで、つまりどちらかと言えば男性より女性のお役に立たねばならないのである。
しかしながら、少しでも女性に近寄ろうものなら節分でもないのに豆を撒かれたり、「私が二重の極み使えたら頭蓋骨粉砕してやるのに」みたいな眼で見られる僕が女性のセックスライフのお役に立つにはどうすれば良いのか。僕は頭を悩ませた。


そして、出した結論がくぉれだぁ。ワントゥースリー。



















162574015_1.jpg

 

 

そう、ピンクローターと言う奴である。
僕ら世代の中学時代のセックスバイブルであるホットドックプレスによると、女性の8割は自慰行為をしてるらしい。
そして、僕は偶然にもプラモデルなんかを趣味に持っており、この手の工作はまあ得意な方だと言える。
ぼくの飽くなきエロさとこだわりをもってこれを作り、多くの人に広めれば他人様のセックスライフが充実するのではないだろうか。




とは言え、僕自身はこの手の玩具を使用した事はほとんど無い。
何と言うか、男には闘争本能とでも言おうか、変な負けず嫌い精神のようなものがあり、玩具を使って相手を満足させてしまうと、「俺はこのバイブ以下なんだ」と言う妙な敗北感があるのだ。
自分の肉体やテクニックをもって相手を満足させた時の清々しい達成感とは真逆の感情なのである。
男として、否、一匹の雄として、自分とおセックスしている雌が自分以外の何かで性的充足を得てしまう事は有ってはならないのである。




しかし、だがしかし。
僕ももう三十路まで指折り数えられるほどの年齢になり、それに伴い十代や二十代前半には充実していた気力体力もやや衰えを見せた。
一方で精神的にはマグマのように煮え滾る熱いパトスは落ち着きを見せ、より円熟味を増しつつあるわけで、思考や嗜好にも変化が訪れこう考える事が出来るようになった。


おセックスにおいて玩具を使うというのは、何も玩具と自分との戦いではない。
玩具はあくまで玩具であって、おセックスを盛り上げるひとつの要素、エッセンス、道具でしかない。
運動をしていた学生時代のように激しく荒々しいムーヴメントはもう出来なくなってしまった。
しかし、玩具と言うものはそれを補い、もしくはただ激しく荒々しいだけのではないおセックスの新たなステージに立つためにある道具なのだ。
玩具を使う事はすなわち自分自身が玩具に敗北するわけではない。
なぜならば、道具はあくまで使役するものであって、それを使いこなすのは自分自身。道具を使うと言う事はすなわち、人間を万物の霊長足らしめる所以の最も大きなひとつであるのだから。




まあとにかく、僕のエロさを世の為人の為と言うベクトルに向けるためにピンクローターを自作してやろうじゃないか、と言う結論に至ったわけなのである。


しかし、ピンクローターと言えば割高なはずのホテルの自販機ですら500円で売ってるものであり、ドンキホーテにでも行けばわずか260円で購入できる。
つまり、自作する以上は普通のピンクローターを作っていたのでは全く持って意味が無いのだ。
規格品には無いより細やかで丁寧で的確なモノづくりが必須なのである。




まあ、何はともあれまずは材料を購入。



先端ユニットの素材を何にするか、これは非常に気を使う部分である。
まず、機密性を保たなければならない。
尚且つ、粘膜に触れる部分であるので清潔で表面を滑らかに仕上げられ、耐水性が無くてはならない。

そこで目をつけたのがくぉれだぁ。ワントゥースリー。















DSC_0229.JPG

自由樹脂。
お湯につければ粘土のように柔らかくなって造型でき、冷えると固まる。
固まった後はプラスチックと言うより弾力性のある硬化シリコンゴムとかポリプロピレンのような硬度・粘度となり、なおかつ生分解性なのでお肌と環境に優しい。まさにエロとエコの共存である。いやお肌に優しいかどうかは知らないけど、普通のプラスチックより良さそうな気がする。多分気がするだけ。

 


次にローターとしての性能を決定付けると言っても過言ではないモーター。
先ほども述べたとおり、僕は260円で購入できるものをわざわざ自作するのに市販品と変わらない性能のものを作る気はサラサラ無い。
こうした工作用の部品として130円くらいのモーターが売っているのだが、それを使ってしまうと当然性能面で満足のいくものが作れようはずもない。

僕の要求に応えるハイスペックなモーターを求め僕は家電屋を色々とハシゴした。
高出力高回転であるもの。
水分過多で常に水濡れの危険性のある悪条件下でも優れたパフォーマンスを発揮するタフネスを兼ね備えているもの。
そう、すなわちミニ四駆モーターである。
ミニ四駆と言えば、色々とレギュレーションはあるものの、要はモーターの回転数を競う遊びである。
当然そのモーターは高回転を突き詰めた仕様であり、なおかつ小学生が適当にガチャガチャやっても壊れない頑丈さをも兼ね備えている、まさに僕が求めるモーターなのだ。

それらのミニ四駆モーターの中で僕がチョイスするのは当然くぉれだぁ。ワントゥースリー。































 

DSC_0227.JPG

プラズマダッシュ。
タミヤ純正モーターの中で最も高い回転数を誇る最強のモーターである。
ミニ四駆が小学校で流行っていた頃、700円前後と言う小学生の小遣い的にかなりの高額であるため、このモーターの使用者は垂涎の的であったものだ。
だがしかし、いまや僕も立派に大人毛の生え揃った一人前の社会人である。その気になれば箱買いだってできる。いやしないけど。

 


そして電池。
電池には多くの種類あれど、その性能にはかなりのばらつきがある。

まずはマンガン。ミニ四駆用の高性能モーターを回転させるのにマンガンは論外だ。この電池は時計などの低電力で持続性が求められる機械に使ってこそ真価を発揮する。


次いで最も多くのシェアを占めているであろうアルカリ。
ミニ四駆用のモーターはアルカリ電池の使用を想定して作られている為、相性は抜群といえる。
しかし、だがしかし。
それは裏を返せば「普通の組み合わせ」と言う事である。
市販品のうち最高とも言えるハイスペックなモーターの原動力が普通であって良いはずがなかろう。


次いで、リチウムイオン電池やニッケル水素電池と言った蓄電池。
分かりやすい商品名だと「エネループ」が挙げられる。
生分解性の自由樹脂と合わせればまさにエロとエコの共存。21世紀のエロスは環境にも配慮しなければならないと僕ぁ思うな。
しかし、いかんせん蓄電池は出力が弱いのだ。普通のアルカリ電池の初期電圧が1.5~1.6Vであるのに対し、リチウムイオンやニッケル水素は1.2Vなのである。
電源から取り出した電圧を一定量にコントロールするインバータを通すデジカメのような精密機器ならともかく、メカニズム部分が電源と導線で直結しているローターにおいては電源出力がそのままパフォーマンスを左右するのである。1.2Vでは出力が圧倒的に足りない。


そして一時期よく耳にしたが最近では見かけなくなった電池、オキシライド。
パナソニックがアルカリ電池の上位種と言う位置付けで発売したニッケル系一次電池であるが、パナソニックのゴリ押しもとい、他社製品と比較して群を抜いたその性能から、商標名が電池の種類のひとつだと勘違いしている人も多いまさにニッケル一次電池の代名詞的な製品である。
1.7Vと言う他を圧倒する初期電圧を誇るこの電池。

最近見かけなくなったのはパナソニックがさらに上位種としてアルカリ乾電池のEVOLTAを発売したためである。
一応パナソニックの公称ではEVOLTAの方が上位性能と言う事になっているが、EVOLTAの初期電圧は通常のアルカリ電池と同じく1.6Vであり、性能テストと言うのはあくまで駆動時間を比較したものであって駆動中のパフォーマンスを比較したものではない。
すなわち、定額電流で最後まで安定して長時間使えるのがEVOLTA、駆動時間は短い(と言っても他のアルカリの1.2倍以上)が瞬間的に大きなパワーが出るのがオキシライドと言うわけである。
何と言っても、オキシライドは懐中電灯などの単純な製品に使用した場合は過電圧によって製品寿命を縮める恐れがあるとしてメーカーが注意書きをHPに掲載していたほどなのだ。

一般的な規格製品に必要とされる電池性能と言うのは「長持ち」の一点に尽きる。だが、僕が作っているのは規格外のモンスターなのだ。
考え得る限り最高のパフォーマンスを発揮する為には、過電圧によるオキシライドのパワーが不可欠なのである。

しかし、オキシライドより長持ちするEVOLTAが登場してしまったことから、残念ながらオキシライドの生産は終了してしまっている。
家電屋を数軒ハシゴするが在庫が無く、楽天やamazonでも取扱がなくなっていたため入手は困難を極めた。
「オキシライド乾電池つき携帯電話充電器」ですら他の電池と置き換えられており、デッドストックを持っている人から個人的に入手するほか無さそうである。実に残念だ。



オキシライドが入手できない以上、現状入手可能な中から最高のものを探さなくてはならない。
まあとりあえず市販されてる中で一番良い電池といえばEVOLTAかな…と考えでふと止まった。
僕が求めるのは持久力ではなく瞬発力。確かにEVOLTAはギネス認定され性能世界一といっても過言ではない電池ではあるが、そのギネスとは電池の駆動時間を計るものではないか。本当にEVOLTAで良いのだろうか?

ここで僕はふと思い出した。
今回使用するモーターはプラズマダッシュ。ミニ四駆のモーターだ。
餅は餅屋。すなわち、ミニ四駆のプロに聞けば良いのである。



ミニ四駆のプロと言えばミニ四ファイター。wikipediaによると彼は今も現役のタミヤ社員らしい。
という訳でタミヤのカスタマーサービスから「ミニ四駆で最速の電池はなんですか?」と聞いてみたが、「他社製品の事は分かりませんが公式大会ではタミヤ純正をお使いください^^」みたいな定型文が帰ってきた。
ッチ。僕らのヒーローミニ四ファイターも今となっては立派な社畜のようだ。子供達のキラキラした夢は薄汚れた大人のルールで成り立っていた。


仕方ないので、ミニ四駆改造wikiなるwikiページを覗いてみた。
それによると、やはり現在のミニ四駆業界ではアルカリ電池主流らしい。
そして、大手メーカー製電池から100均電池、果ては家具屋やコンビニなどのプライベートブランドの電池まで比較した結果が出ていた。
そんな中で最も僕が求める性能を誇っていたのがくぉれだぁ・・・あ、もういいすか。すんません。










DSC_0248.JPG

日立マクセル「ボルテージ」
ミニ四駆改造wikiによると、開封直後の瞬発力は他の追随を許さないと書いてあった。

大人の知識と経済力を持って「いかに速くモーターを回転させるか」と言う一点のみを極限まで突き詰め、小中学生とミニ四駆の速さを競い合っている何とも大人げの無い愛すべき馬鹿野郎たちをもって「他の追随を許さない」と言わしめる電池。
僕が目指す究極系にこれほど相応しい電池は他にあるまい。






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先端のカプセル部分を形成する自由樹脂。
そして駆動部分を司るミニ四駆公式大会では禁じ手とされているプラズマダッシュ。
その性能を極限まで引き出す日立マクセル「ボルテージ」
これで役者は揃った。
導線や電池ボックスなどその他にも色々と部品は有るが、それらは普通の市販品なので必要があれば紹介しよう。

さっそく、僕は製作に取り掛かったのだった。



続く。

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