こんにちは僕ぽち丸。
ちょっとした行き違いで笑えない事になってしまう事は多々あります。
夜中にジョギングしてたら不審者に追いかけられたと通報され、間違えて女性専用車両に乗ってしまったら痴漢じゃ盗人じゃ火を放てと追い詰められ、迷子の小学生に声を掛けたら未成年者略取容疑で逮捕されてしまう。そんな世の中。
これだけ世間が殺気立って、親が子に「人を見たら盗人と思え」と教える世知辛いご時勢ですけども、どれだけ気をつけてどれだけ入念に手を打っていても、訪れるのが分かっていながら回避が出来ない、不可避のトラブルと言うのもあるわけです。
今朝の事なんですけどもね。相変わらずチャリンコ通勤で、やや涼しくなり始めた道を快適に飛ばしてたわけですよ。
んでまあ、この時期すごいじゃないですか。虫が。
越冬できないような奴らが繁殖やら産卵やらその為の捕食やらでやたらアグレッシヴなわけですよ。
油断するとフードやら目やら口やら鼻やらに飛び込んできて、マジであの問答無用で飛び込む姿勢をセールスマンも見習うべきとか言う勢いなんですけども、春に孵化して夏を越えて、秋と言えば昆虫の寿命的には晩年なわけですよ。
繁殖活動して産卵して、一仕事終えたらあとは死ぬだけと言う人生の、いや虫生の総まとめの時期。
要するにね、春や夏に比べてデカいのよね。虫がゴツいと当然こちらが食らうダメージも大きくなるんですよ。
んでね、走ってたら、ゴツいやつが僕の顔面めがけて飛び込んでくるのが見えたわけですよ。
―――――――見えるッ!!
もうね、この瞬間の僕は間違いなくニュータイプでした。
ニュータイプ的直感か小宇宙を高めてセブンセンシズに目覚めたのか分かりませんけど、反射的に身をかがめて虫の回避に成功。
それで、会社について自転車を止めて建物に入ろうとしたとき、何か頭皮がかゆいなーと思って何気に掻いたんですよ。
ブチッ。
嫌な感触がありました。
うへぇ…と思って手を見てみると、何とそこにはッ…!!
カメムシ様が中身をぶちまけておいでではありませんか。
やってしまいましたね。ええ、やってしまいましたとも。
カメムシと言えばあーた、アレですよ。ガチャガチャのカプセルに閉じ込めたら自分の臭いに耐え切れずに死んじゃう例のアイツです。
そいつが、体のどっかに蓄えてるであろう臭いのを調節すらせずにぶちまけてるわけですからね。そしてそれがぽち丸の髪の毛やら頭皮にベッタリついてるわけですよ。
もうね、ちょっとメンタル弱い子だったら本気で家に帰るレベルですよ。臭いが尋常じゃない。
実際僕も帰るか迷いましたけど、家に帰るまでのこの臭いに耐えられる自信がない。
会社の給湯室で何とかして頭を洗いたい。
しかし、その為には会社に入り、多くの人の目の前を通って行かなければならない。その距離約30m。
ここで冒頭に繋がるわけですけども、この30mを歩くという事は、MAXカメムシ臭を会社中に撒き散らすという事です。
そんな事をすれば、一瞬で「クサい」と言われてその日からあだ名がカメムシマンになり、遠巻きに石を投げられたり、就業中に「飲み会あるのカメムシマンに黙ってようぜ、アイツ来たらクサいし」とかって小っちゃい手紙回されたり、女子更衣室でお姉様方が「ちょっと、今日カメムシマンから書類回ってきたんだけどww」「サイテーwww」「カメムシ菌がうつるーww」「触られただけで妊娠しそうwww」「こわーい誰か通報してーwww」とか言われたりするに違いありません。
しかし、しかしだ。行くしかないじゃないですか。それ以外僕にどうしろって言うんですか。
神はなんと過酷な試練を与えたもうたのか。
それが人の業だと言うのならば、私は行こう。
恨まれようと、謗られようと、我が道を歩く。
我は行く。青白き頬のままで。臭い頭皮のままで。
我は逝く。さらばーすーーばーーーるーーよぉーーーーーー!!!
ぽち丸「おはようございまーす」
お局「おはようございまー…す」
お、意外にも一番大騒ぎしそうな人がスルーだ。何か、妙な間が若干気になるけど、気にしないことにしよう。
給湯室まであと20m…
ぽち丸「おはようございますー」
後輩「はよざいまーす…(スンッスンッ)」
やたら鼻をヒクつかせて眉をしかめてるなぁ。季節の変わり目だし、風邪かな。キニシナイキニシナイ。
給湯室まであと10m…
ぽち丸「おはようございます」
部長「はーい、おはよ…
臭ッ!臭ッさ!!」
部長、アウトーーー(デデェーン)
ここが「臭いと言ってはいけない会社」だったら、間違いなく部長はタイキック食らってました。
噂大好き悪口大好きのお局様でさえもスルーしていた(後で更衣室とかで言うんでしょうけど)ものを、デリカシーのない大声で臭い臭いと叫びだす部長。
みんなの気遣いが、僕を給湯室の直前まで後押ししてくれたみんなの大人力が無に帰した瞬間でした。
こうして、壊れそうなものばかり集めてしまう10代のような僕のグラスハートは音を立てて砕け散ったわけです。
皆様、不可避のトラブルに巻き込まれ決死の覚悟を決めた人には、くれぐれもやさしく接してあげてくださいね。
カメムシマンとの約束ですよ。
[1回]
PR